読み物
□感覚麻痺
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「骸さん何か良いことあったんれすか?凄くニコニコれすね〜」
「猫を、拾ったんですよ」
「猫………れすか?」
骸はクフクフ笑いながら千種に作らせたホットケーキとミルクを持って部屋を出た。
「あ、柿ピー俺もホットケーキ欲しいんれすけど!!」
「犬………さっきのガムは?」
「のっくんじゃった」
そんな会話が聞こえて来る扉から離れて………
自室に戻るとシャワーを浴びたベルが濡れた髪のままベットに横たわっていた。
「そんな濡れたままでベットに居ては風邪をひいてしまいますよ?」
そう言いながらベルの頭にタオルを被せ、丁寧に滴を拭っていく骸。金髪の髪はしっとりと濡れてポタポタと滴を落としていた。
「別に風邪とかひかねーし」
骸が持っていたタオルを強引に奪って乱暴に滴を拭った髪はグシャグシャになり色々な方向に跳ねていた。
「クフ、ほら乱暴にしては髪が痛んでしまいます……あと、日本では馬鹿以外は風邪をひくんですよ」
「じゃあそれに付け加えといて。王子も風邪ひかないって」
再びタオルを手に髪を拭う骸に諦めたのか大人しくベットに座る。
骸はベルの髪を拭いて
ベルはミルクを飲みながら
不思議な雰囲気と時間を共に過ごしていた。
「なぁ、此処って俺とアンタ以外に二人くらい他の奴いるよな?」
落ちる滴は幾分かマシになった頃にベルは口を開いた。
「えぇ、犬と千種と言う僕の手下が二人程……」
タオルは滴る水滴を吸って重みを増して冷たくなりだしていた。
「ふーん……手下、ねぇ……」
ベルはホットケーキを口に含みながら曖昧な返事を返す。メイプルシロップをふんだんに掛けた為か、甘ったるい味が口一杯に広がった。
「うげ、甘……胸ヤケしそ〜……」
「僕も一口欲しいんですが……」
そう言って最期の一切れに手を伸ばすと骸より早くベルがソレを口に入れた。
「あげる訳無いじゃん。自分の物を取られるのってスゲー嫌」
ベルはホットケーキを口に入れたまま言葉を紡ぎ続けた。
「クフフ……知ってますか?飲み込むまで気を抜いちゃいけないんですよ?」
ホットケーキに伸びていた手をベルの腰に回して、引き寄せると同時に唇を重ねる。
ベルの口内を掻き回してホットケーキを奪い、唇を舐めてから顔を離した。
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