読み物

□永遠に繰り返す
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「やっと、見つけましたよ」



思わず自分の口から出た言葉に驚く。


ほら、彼も驚いて



「お前……」



あぁ、僕を見て不機嫌になる君を また見つけた。


「お久しぶりです。六道骸と申します」



「はじめまして、だと思うぜ」



敵意を剥き出しにして、ダイナマイトを取り出す彼。
何も変わらない、君



「おや、まだ僕は君の名前を聞いてませんがね」



今の、名前を



「お前みたいなヤツに名乗る名前はねぇんだよ」



持っていたダイナマイトは弧を描いて放たれて、だけど僕は笑みを消せない。



「クフフ、相変わらず……ですね」



無数の爆弾を全て避けて、君に近づく。


「なっ……」


予想外とでも言うような君の顔。



「名前、教えて下さいよ」



君が弱かった、紳士的な笑みを浮かべて
もう一度聞く。



「……獄寺、隼人だ」



今の名前は――……


「隼人君、ですか」



「気安く呼ぶんじゃねぇ!!」



すっかり戦意を喪失したのかもう手にダイナマイトは無い。


やっと見つけた、君を。



「逢いたかった…逢いたかったんです隼人君」



君の身体を腕で包んで、温かい事を確認する。



「離せ!何してんだテメー!!」



ジタバタと僕の腕の中で暴れるけれど、離さ無い。





すべり落ちた、君



守れなかった、僕




「……お前、何泣いてんだよ」



涙が伝う頬に手を添えて、滴を拭う君



「何も覚えて無い……ですよね」


分かっていた事じゃないですか
当たり前じゃないですか


なのにどうして



こんなに胸が痛い



「何がだよ」



「いえ、何でもありません」



同じ輪廻は繰り返さ無いから。



「僕は、ずっとずっと君を探していたんです。もうずっと、長い間」



伝う涙は止まらなくて、嬉しさと悲しさと恐怖が胸に押し寄せる。


「迎えに来ると、見つけると、約束したんです。君は覚えて無いでしょうけれど」



僕だけが知ってる。

僕たちの約束。



「ほら」



差し出されたハンカチは少し汚れていて

だけど僕はそれを取る。



「いー加減泣きやめよ。うぜぇ」



悪態をついているのに 困惑した顔の君



「すいません……まだ止まらないみたいです」



小さなため息が君から落とされる。



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