読み物
□悠久の刹那
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「やっと、見つけましたよ」
初めてみたはずの相手なのに、何故か懐かしくて
「お前……」
微笑むお前を
オレは知ってる……?
「お久しぶりです。六道骸と申します」
懐かしむように放たれる言葉。
「はじめまして、だと思うぜ」
手に掴んだダイナマイトに火をつけて、睨みつける。
「おや、まだ僕は君の名前を聞いてませんがね」
「お前みたいなヤツに名乗る名前はねぇんだよ」
変な懐かしさとコイツの余裕が気にくわなくて
持っていたダイナマイトを空に投げた。
「クフフ、相変わらず……ですね」
おかしな笑い方をして、投げたダイナマイト全てを軽やかに避けて近寄ってくる
「なっ……」
予想外だ。
「名前、教えて下さいよ」
夢でみた事のある、紳士的なあの笑み。
オレはこの笑顔が嫌いだ。
「……獄寺、隼人だ」
夢のアイツがかぶる。
「隼人君、ですか」
「気安く呼ぶんじゃねぇ!!」
馴れ馴れしさに腹が立って顔を上げれば――……
泣き出しそうな 顔
「逢いたかった…逢いたかったんです隼人君」
割れ物を包むように、優しく抱きしめるのが
気に入らなくて
「離せ!何してんだテメー!!」
思い切り暴れたのに離さない腕
しばらくすると、その腕は震えだして。
「……お前、何泣いてんだよ」
頬を伝う涙を、そっと指で拭いてやる。
夢では出来なかったけれど
今なら出来るから。
「何も覚えて無い……ですよね」
小さな予感が、胸を揺さぶる。
「何がだよ」
お前は、何を知ってるんだ
「いえ、何でもありません」
涙は止まっていないのに、無理に笑おうとするのは
痛々しくて
「僕は、ずっとずっと君を探していたんです。もうずっと、長い間」
探すなと言ったあの夢が頭によぎる。
「迎えに来ると、見つけると、約束したんです。君は覚えて無いでしょうけれど」
コイツは、夢のアイツだと
何故かそう思った。
「ほら」
ポケットに入っていたのは、少し汚れたハンカチ。
だけどコイツはそれを取る。
「いー加減泣きやめよ。うぜぇ」
まだ、泣いていたのか。
忘れろって言ったのに。
「すいません……まだ止まらないみたいです」
ふう、と
小さなため息が漏れた
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