読み物
□感覚麻痺
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「ほら、ちゃんと隠れないとかくれんぼになんないじゃん」
ニヤリと笑ってナイフを放つ。ナイフは相手を切り刻み鮮血を吸い上げる
「つまんね〜の」
真っ暗な路上で血を舐めとる金髪の少年。頭に乗ったティアラが月光を反射して輝いている
「うっは……返り血ベットリ………どっかでシャワー浴びてぇ……」
真っ赤に染まっていたナイフから血を丁寧に拭いながら細い道を静かに歩く。ふと近くから足音がするのに気付き、気配を消して壁にもたれかかる。足音の主はゆっくりと金髪の少年に近付いていた
シュッ
投げたナイフは当たる事無く狙った相手に取られた。
「クフフ、道を散歩してたら猫に会いましたね………赤黒い猫に」
「は?何?猫ってオレの事言ってんの?オレ猫じゃねぇし」
そんな会話を続けながらもお互いに武器を取り出し戦闘体制に入る
「おやおや、僕と殺り合うつもりですか?じゃあ僕が勝ったら大人しくシャワーを浴びて下さいね」
その言葉に金髪の少年はナイフを下ろした。
「丁度シャワー浴びたかったし……アンタ強そうだけどまた無駄に血浴びたく無いしね」
そう言ってオッドアイの少年に近付いた
「あ、俺の名前はベルフェゴール。ベルで良いよ。あと猫じゃなくて王子ね」
うしし、と笑いながらすり寄って来る姿や気まぐれな性格はさながら猫のようで
「僕は六道骸です。」
名前を告げるとベルは「髪型と同じで変な名前〜」と小さく呟いた。張りつめていた緊張感は解けて吐き出す息は白い。
さっきまで星が輝いていた空には雲が立ちこめ、白い綿のような雪が溢れ柔らかい月の光を返していた。
「で?どこでシャワー浴びんの?」
問いに振り返り、優しく微笑み返事を返した。
「僕のアジトですよ」
そして二つの影は
吸い込まれるように
闇に溶けて消えた。
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