拍手置き場

□2007.11.01〜
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『年賀状』





「うわぁ〜、もう年賀状、売ってるんだ〜…今年も、もう終わりだなぁ〜」

きらはコンビニに来ていた。入店してすぐに、年賀状が目に入ったのだ。

「うぅ〜…そろそろ、枚数を確認しておかないと…それに何を描こっかなぁ〜?」

年賀状を見つめながら、悩むきら。

(優にも、描きたいなぁ……でも、住所、知らないや…それに正月には、優、一謡の郷に帰っちゃうのかな……、正月、一緒に過ごしたいなぁ…………って、いうか年賀状!!何書いたらいいんだろ……?)

真剣に悩んでいる姿に、他の客たちは、不審に思い、きらを避けていく。

(そうよ!問題は、何を書くかよ!!『あけまして、おめでとう!!』は、いいとして……その後、『今年も、よろしくね!』…じゃあ、他の人と変わらないし……それじゃあ、『今年もいろいろよろしくね!』……でも、何か…、何かねぇ……もっとこう、付き合ってる感を出したいような……あ、でも葉書だし、他の人に見られたら、恥ずかしいし……第一、そんなこと優に書いたら、真っ赤になって怒りそうだし……)

そんな悶々と悩んでいるきらは、背後から人が近づいてきたのに、気づかなかった。


「おい」

「うひゃぁあ!!」

「なっ!変な声、出すな!!」

「なんだ、優か…」

「なんだとはなんだ!…お前、こんなところで何してるんだ?お前の周り、客が不審がって、避けてたぞ」

「えぇ!!それは………。そうだ、優!優はさ、お正月、一謡の郷に帰るの?」

「あぁ?そうだな……本家が毎年、新年会やっているが、僕は参加したことがないな…でも、今回その新年会、片瀬が幹事で、逃げるのに苦労してるんだ……」

「え、どうして参加しないの?」

「……どうせ、愁一や、明月にからかわれる……」

「え?何で??」

「何でって、お前!!お前も一緒に行くんだからな!!」

「えぇ!?そうなの!?」

「当たり前だっ!!お前も一謡なんだからなっ!!」

「…それに……」

「それに??」

「お前が行かないんだったら、行っても意味がない……!!」

優は、うつむきながらそう言った。

「…っ…優…////……じゃあ、お正月も一緒に過ごせるね!!」

きらは、満面の笑顔で優に微笑んだ。


(――っ!!…………来年も、こいつに振り回されるんだろうな……)


…と思いつつ、それも、まぁ、いいか…と思う、優であった。




― E N D ―

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