Treasures
□守ろう、君を、貴方を
5ページ/10ページ
駆け出したい衝動を堪える。私が今出て行っては、きっと陽菜は自分を責めるだろう
しかし陽菜はその手を振り解こうとして
勢いよく近くの窓に放られた
ぶつかる、そう思う前に走り出した
「…怪我は、ないか?」
考える猶予も与えずとっさに走り出し、私は身を持って陽菜を庇った
割れた窓ガラスの破片は私の背中に刺さったらしく、痛みが背中に走った、だが慣れたものだ
「た…かひと…さん…?貴人さん!!」
「すまないが…破片を抜いてくれないか?」
陽菜は慌てて私の背中に刺さった破片を取り除いてくれた。
背中からは嗚咽が聞こえる
「ば、化け物!!」
男は叫んだが、私は別に何とも思わなかった。
傷を負った時点で予想はしていたし
その言葉は幾度となく、聞かされた物だった、陳腐な台詞だ
だが
_