水の旋律
□甘く、ささやく声
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「あぁ…子供ができたら…お前、とられてしまうもんな…」
「哲生ったら…子供にまで、ヤキモチ妬いて…仕方ないんだから……でも、哲生…」
「なんだ?」
「私たちの間に子供ができたら…その子が一謡と九艘の架け橋になってくれるといいね…」
「あぁ…そうだな…それが…真秋の悲願でもあるしな…と同時に、オレの願いでもあるな…」
「…哲生……そうだね…私たちの子供が幸せに暮らせるように、頑張ろうね!哲生!!」
一謡と九艘の関係は、和平を結んだとはいえ、まだ完全に修復されてはおらず、複雑なところにある。そんな状況が少しでもよくなれば…と思い、片瀬と陽菜は自分たちの子孫に願いを託す。
「あぁ…そうだな……それじゃあ、励みますか!!」
「えぇ!?そんなつもりじゃ…」
「オレはそんなつもり、“ありあり”だけどな……嫌か?」
(そんな切なそうな目で見つめないでよ…)
片瀬は切なげな瞳で、陽菜を見つめる。
「……そんなこと…」
「そんなこと…?」
「……ない…っ////」
「…ふ…可愛いな…陽菜は…」
「哲生の方こそ!!……カッコぃぃょ…」
「いや、お前には、負けるよ…」
「あれ?白石先輩??」
そんな子供服売場で場違い(?)な会話をしている陽菜を見つけ、きらは呼びかけた。
「え!?きらちゃん?」
「はい!こんなところで奇遇ですね!?」
「きらちゃんたちこそ!」
「私は、そこの雑貨屋さんを見たいと思って…ね!優!!」
そう言って、子供服売場から見える雑貨屋を指さす。
「……だそうだ…」
きらに腕を引っ張られている優は、ため息まじりにつぶやく。
「白石先輩は…?」
「え?」
「もしかして…子供服売場にいるってことは……おめでたですか!?!?」