水の旋律
□雪見酒
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―実際、こうやってお前と酒を飲むのも、久しぶりだよなぁ…
阿修羅の太刀が見つかり、八咫の一族が現れ、陽菜が連れ去られ…
あの時ほど、何かを失うのは、怖いと思ったことはなかったぜ…
自覚していたつもりだったが…
あいつが…
陽菜が…
こんなにも、オレの心を占めているなんてな…
―初め、出会いは、狩る者と狩られる者…即ち、加害者と被害者…
命を奪う相手に向かってあいつは、オレに近づいて来たんだ…
そして、いつの間にか話すようになり、オレは妹のようにあいつを見ているはずだった…
いや…見ようとしていた…
もう…大事なものを失いたくない…
あんな思いをするくらいなら、失うものなど何もいらない…
――そう、決めたはずなのに…