The Original Story
□彼女の憂鬱
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―また、この季節がやってくる…
まったく、何度繰り返したら、気が済むんだろう…
この季節だけなくなってしまえばいいのにさ…
「湯沢せんぱ〜い!!」
サークルの新入生歓迎会。みんな酒の力を借りて、いい具合にできあがっている。そんな中、後輩が私に話しかける。
「何?」
「先輩って彼氏、いるんですかぁ〜??」
やっぱり、きたか…
この質問…
「…いないけど?どうして?」
「あ!すみません…いないんなら、いいんですぅ〜」
そう言って、後輩は別のテーブルに移動した…
なんだよ!!すみませんって!!なんで、謝れなくちゃいけないんだ!!
……おっと、自己紹介がまだだった。
初めてまして、こんにちは。
私、湯沢 楓(ゆざわ かえで)、大学3年生。まぁ、どこにでもいる中流階級の学生です。よろしく。
そんな私が何故この季節、要するに自己紹介の季節が嫌だと言うと…
まとわりついてくるあの質問…
「彼氏いるんですかぁ?」
…ってヤツだ。
大学生のステータスなのか?これは?質問タイムとなると必ずって言っていいほど、出る質問…
だから、この季節は嫌いなんだ…