水の旋律

□苦さと甘さ。
3ページ/17ページ






―尚和高校校門前。


「…あいつ、いつになったら出てくるんだ…」


優は校門の壁に、もたれ掛かり、きらを待っていた。

きらとの待ち合わせは駅だったのだが…
運悪く授業が早く終わり、時間を持て余すことになったのだ。

そして、優は追いかけられる女子の群から逃げるように、尚和高校にやって来たのだった。


(幻惑謡の幻でなんとか逃げきったが…こんなことで、力を使うことになるとは……でも、あのままだと、きらには確実に会えないしな……)



『義理ですからぁ〜!!!!』



突如、校舎から響くきらの声。


「んな!!何やってるんだ、あいつ………もしかして、チョコの取り合いでもしてるのか!?」


今すぐに校舎に侵入したい優だったが、尚和高校には九艘の者がいる。荒波をたてたくはないので、優は思いとどまった。


(くそっ!早く来い、きら…!!)

そう、事は一分一秒を争う状況下にある…
そんな状況で待たされる者の時間は、とてつもなく長い…





そして、しばらくすると、きらが玄関から出てきた。
そして校門へ向かって歩き始めた。


しかし、玄関を出たところで、きらは辺りを見回し、何かを見つけたようで、右に折れてしまった。


優は不思議に思い、きらの視線の先にいる人物を見た。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ