The Original Story

□彼女の呼び名
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「おはようございます」

レジに立った私は、再び挨拶をした。


「おはよ〜かなでちゃん!今日は一時間遅れるって言ってなかったっけ?」


「はい。ダッシュして駆け込み乗車でなんとか乗れました…」


「そっか!あの坂、ほんとにきついからね〜オレもさ、時間ギリギリだと大変だもん!」


「そうですよね〜…」


只今、私と話している人物、桐島 瀬那(きりしま せな)、バイト先の先輩である。私と同じK大学の4年生で、同じ中学だった。因みに要とは同じ高校。


「ねぇ?かなでちゃん?」

「だから、私は楓ですってば!」

「いいじゃん!ニックネームだよ!ニックネーム!!」

「先輩だけですよ!?そう呼ぶの」

「へぇ〜そうなんだ…」


含みのあるような言い方が気にならない訳ではなかったけど、いつものことなので、まともに相手にしてはいけない…


「んじゃあさ、かなでちゃんもオレに何かつけてよ!ニックネーム!!」


「えぇ?どうして私が?」


「いいじゃん!だってさ…こうなんていうか…二人だけの呼び名決めるのって、なんだか……『オレたち仲良し!!』みたいな?」


「はい、はい…」


先輩はいつもこんな感じだ。このペースに巻き込まれては、いけない…


「ね?だから、つけてよ?ニックネーム!!」


「そう言われてもすぐに思いつかないですよ!!」


「んじゃ、宿題!」

「はぁ?」


「さて!掃除機でもかけますか!!」


そう言って、さっさとレジを立ち去り、掃除機をかけ始めた。


そんな様子はいつものことで、交代のオバちゃんは、


「モテる女はつらいねぇ〜…」


などと、どこかで聞いたセリフを残して、帰っていく。


これもいつものことだけど。




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