The Original Story
□彼女の呼び名
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掃除機やモップをかけ終え、あとはレジ周りの仕事が中心となる。
「そういえば…この前の春休みにさ、要と葉月がオレんちに来て、成人式の同窓会の話してたんだ」
「そ、そうなんですか…何か言ってました?」
先輩と要と葉月は、中学校の頃、同じバスケ部で、仲良かったらしい。今でも要と葉月が帰省してくると、互いの家に遊びに行くらしい。
「…ん?いや、例の名物男が酔っ払って管巻いて、その相手をするのが大変だったって言ってたな…」
「あぁ…そうですね…抱きつき癖がすごかったですね…」
「えぇ!?かなでちゃんも抱きつかれたの!?なんて役得なっ!!成敗してくれるっ!!」
「…って勘違いしないで下さいよ!!男子にしか抱きついてませんよ!!」
「そっか…それを聞いて安心だ…」
先輩は安堵のため息をついた。
「…それじゃあさ…オレが酔っ払って、かなでちゃんに抱きついたとしたら……かなでちゃん、受け止めてくれる?」
「もちろん」
にっこり笑って答えた。
「突き飛ばしますが?」
「…すみません…もう言いません…」
余程、私の会心の出来の笑顔が怖かったのか、それ以上その話には触れてこなかった。
なんて失礼なっ!!