The Original Story
□彼女と彼女の決着
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こうして、私たちはバーベキューの片付けをして理子の家を後にした。
そして駅へと向かう途中、要が何故か言いづらそうに言った。
「なぁ、お前さ…この後、何か予定あるか…?」
「いや、別に何もないけど?」
「じゃあさ、このままどこかに遊びに行かないか?」
「うん!別にいいけど…」
このまま、電車に乗って帰ってしまうなんて、勿体無いと思っていたところだ。せっかく、両想いになったのだ。もう少し一緒にいたい…
「でもどこに行く?」
「そうだなぁ…どこに行きたい?」
正直なところ、どこかに行きたいというより、一緒に居たいだけで、場所なんて考えてもいなかった。
「うぅ〜ん…そう言われると困るなぁ…」
この娯楽が少ない田舎では、遊ぶ場所なんてたかが知れてる。遊ぶところ、時間を潰すといったら…カラオケ…か?
いや、でも…
私の得意とする歌はアニソンやキャラソンでしてね…
まぁ、部屋にあるゲーム類を見ているコイツに今更猫を被らなくてもいいとは思うけど…
初めっから、ぶちかますのもなぁ…徐々に、徐々に…ね?(何をだ)
それに要は歌があまり得意でないらしいし、あんまり歌わないらしいから…
どうしたものか…
「じゃあさ、久しぶりに俺たちが通っていた小学校に行かないか?」
小学校…
私と要が通っていた小学校は、移転して廃校になってしまった。移転されたことに伴って校章や校歌も変わってしまったことに、寂しさを感じたものだ。
「…って、ことは帰るってこと?」
「そういうことになるな」
「うん、そうだね…帰ろっか!」
思い出すと急に哀愁を覚えて行きたくなった。
「ほら」
「…ん?」
手の平を上にして……、何?
…とりあえず、私も要と同じように手の平を上に向けた。
「だから〜〜っ!!!!」
差し出した手をグッ!と掴まれた。
「……」
「何だ…手を繋ぎたかったんだ…」
「う、うるさい…」
「拗ねない、拗ねない…私もそう思っていたところだから…」
そう言った瞬間、ものすごく嬉しそうな顔をされて、私の方が焦ってしまった…
手汗…絶対、かいてしまうよ…
でも、この手は離したくない…
なんて複雑な乙女心なの…?(笑)
「そ、そうか!それじゃ、帰ろうか…」
「うん!」
こうして、私たちは手を繋いで電車に乗ったのだった。