The Original Story
□彼女の夏の軌跡-終
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私が玄関から逃げるようにして走り去った後…
「おい、要」
「…何だよ」
「お前、楓こと…どう思ってるんだ?」
「…お前には関係ない」
「またそのセリフかよ…カッコつけるのも、いい加減にしろよ?お前…あいつの気持ち、分かってるんだろ?それにお前だって…」
「うるさいっ!」
「誰かに取られてからじゃあ、遅いんだぞ!?」
「あいつは、そんなフラフラしてるヤツじゃない!」
「強引に…ってこともあるかもしれないぞ?それに、本人は気づいてないけど、あいつ…大学で結構モテるらしいし…」
「……」
「桐島先輩とも同じバイト先でよく話すみたいだし…いつの間にか下の名前で呼び合う仲になっているし…」
「……」
「…って、お前には『関係ない』話だな…
そんな話して悪かったな」
「別に…」
「…お前のその不器用なところ、嫌いじゃないけど…意地を張りすぎて、大切なもの、失わないようにな?」
「余計なお世話だ!」
「だな…俺からの最後の忠告だと思って聞き流してくれ…
俺も、友達だと思ってお前に遠慮していたけど…」
「どこがだよ!」
「これでも遠慮してたんだよ…でも、はっきり自分の気持ちも言えないヤツに楓を任せられない。」
「……」
「もう、遠慮しないから。
…じゃあな!トイレ、トイレっと!」
「……」
―こんなやり取りが要と葉月の間にあったとは、私は知る由もなかった―…