The Original Story
□彼女と彼の約束
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「楓っ!成人式ぶりだね〜!元気にしてた?」
「あ、茜!うん!茜こそ、元気にしてた?」
お盆休みを利用して、地元の居酒屋で同窓会。
でも仕事や進学で地元を離れている人が多いから、集まるメンバーは大抵同じで…私も実は今回初めての参加だったりする。
「この夏の同窓会に楓が出席するのって初めてじゃない!?」
「あ、うん、そうだね…」
同窓会に参加したのなんて、あの成人式のときしかない…
「もう!地元民のくせに全然参加してくれないんだからっ!」
「ごめん、ごめん…バイトとかサークルで忙しくってさ…」
…というのは建て前で…
時間なんて正直、つくろうと思えば、つくれた。
今まで不参加だったのは、毎回毎回、稔ちゃんが参加していたからであって…
今回も例年通り『不参加』の連絡をしようとしたら…
『は!?俺も行くんだから、お前も行くんだよ!お前が行かないんだったら、俺も行く必要ねぇし…』
『……』
今までは私いなくても、参加していたくせに何を言う…
…じゃあ、行かなければいいじゃないの…
とは、流石に言えなかった。
同窓会で友達とふざけ合っている要は、まるでな子どもみたいな無邪気な顔して…
そもそも、要は友達が多く、毎年参加してるらしいから、参加させてあげたいし…
『…分かった…私も行くよ』
(『お前が行かないんだったら、行く意味ねぇし…』)
…って、ふてくされたように言ってくれた言葉が嬉しかったし…
『それじゃ、幹事に伝えておくからな!』
なんて、嬉しそうな声聞いてしまったら、行かないわけにはいかないじゃないか!?くそぉっ!
…稔ちゃんと顔を合わすのは憂鬱以外の何ものでもないけど……
私は腹をくくって参加を決めた。