お題小話
□Valentine&Whiteday
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※旧ブログより転記
バレンタインSS【ビターな甘さ】
「はい!これ!バレンタイン!ガトーショコラ」
失敗を重ねて、やっと納得ができるものが作れた。
自信をもってヤツにブツを突き付けた。
『返品不可』と念を込めて…
「あぁ…ありがとう…」
すんなりと受けとってくれたはいいが…
普段から無表情なヤツだ。でも今日はもっと無表情な上に、難しそうな顔をしている…
せっかく苦労して作ったのに、もう少し嬉しそうな顔、してくれたっていいのに…
それにどうして、こんなに不機嫌なのか…
「えぇ〜と…欲しくなかった?」
「アホか!そんなことはないけど……お前さ、他のヤツには何をあげたんだ?」
どうして私が他の人にあげたことを知っているのか…
「お前があげたやつから自慢気にメールが来たんだよ!『バレンタイン貰えたぞ〜!しかも手作り!羨ましいだろっ』てな!」
あぁ、そういうこと…
ガトーショコラの試作を作り過ぎて、捨てるのも勿体ないから配っただけなんだけども…
「……他のヤツと俺も同じものなのか…?」
眉間にしわをよせ、ますます険しい顔になる…
「え、だって材料代もバカにならないし、他の人のは1切れだけど、あんたのはワンホールだよ!?しかもオマケにクッキー付き!」
試作を人にあげたなんて、堂々と言える立場ではないけど、勘違いされたらたまったものではない…
こちらが本命なのは、言うまでもなく知っているくせに…
「……。まだ足りない…」
「…は?」
「……だから…」
「――んな!?!?」
あろうことか、ヤツは私を引き寄せ唇にキスを落とした。
「何すんのよ!?!?」
「…他のヤツと同じものってのは気にくわない…だからお前をもらった。量より質、だろ…?」
くっ!!
さっき、ふて腐れていたヤツが、もうニヤニヤと笑ってやがる!!
でも、このままで引き下がるような私ではないっ!!
「へぇ〜…キス一つで足りるんだぁ…」
「…足りるわけないだろ…?足りない分は……」
墓穴を掘ったか…?
やばい…やばいぞ…?
この雰囲気は……
「足りない分は…お前自身に補ってもらうからな…覚悟しておけよ?」
…やっぱり、こうなるのか…
「お返しは期待して宜しいのかしら…?3倍返しが基本ですけど?」
わざとらしく、普段使わない言葉遣いで尋ねる。
「あぁ…勿論。十倍返しにしてやるぜ…俺つきで」
「いりません。」
即効拒否。
「何でだよ!!」
「だって、普段からもらっているし…ね?何も特別なことじゃないし…」
「……。」
「フフ…ホワイトデー…楽しみだなぁ★十倍返しかぁ…」
私は明後日の方向を見て、来るべく来月のホワイトデーに想いを馳せる。
「…見返りを求めるなよ…」
「世の中、ギブアンドテイクですよ?お嬢さん?」
「俺はお嬢さんじゃねぇっ!!」
「言葉のアヤってヤツですよ!」
「ホワイトデー…みてろよ!十倍返しにしてやるっ!!」
「そう?楽しみにしてるわ★」
「一先ず、今日は足りない分をお前に補ってもらうからなっ!」
「……。…自分で自分の首絞めている自覚、あるのかしら…」
「分かったな!?」
「はい、はい…」
ま、そういうところが可愛いなんて思う私も相当、重症なんだけどね…
好きなヤツをイジメたくなる心境って分かるわぁ〜…
だって甘ったるいだけの関係じゃ、飽きちゃうもの…
でも、今日くらいは甘くてもいいかな?
ビターなガトーショコラの甘さを補うのは、貴方★
な〜んてね!
キャラじゃないから言わないけど…
さて、『試食会』といきますか…?
END
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即興で思いついた文を書いていたら、こうなりました…
小悪魔な彼女に振り回される彼氏の話…?
がんばれ彼氏!!
ホワイトデーVer.も書こうかな…
以上、ささやかなバレンタインプレゼントでしたっ!!
皆様、よいバレンタインをお過ごし下さい!!
2009/02/14 作成