水の旋律
□お姫様のお願い
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柏木高校文化祭の帰り道、陽菜は片瀬にバイクで柏木駅まで送ってもらった。
「行きは、はねっかえりがいて、乗せてやれなかったからな……」
と言って、乗せてくれたのは、いいのだが……
(もう、哲生ったら、相変わらずスピード出すんだから……怖くて、思いっきり、しがみついちゃったじゃない…)
と陽菜は、思っていたが、わざと片瀬がスピードを出しているとは、少しも考えていない…
「あ、そうだ、哲生。ききたいことがあるんだけど……」
「ん?なんだ?」
「設楽くんが、『本家のベッドの下にあるもの、この場で言うぞ!!』って言ってたじゃない?あれって何だったの?」
「えっ!!あっ、あれはだなぁ……」
「ねぇ、何?」
と片瀬は、陽菜に問い詰められた。
(くっそ!!優のヤツ、今度会ったら、タダじゃおかねぇ……!!)
「…哲生?きいてる…?」
「…あ、あぁ…あれはだなぁ…」
(くそっ!!言い訳が思いつかねぇ!!)
「ねぇ、ここできいてるの、私だけだよ?だから…教えてくれてもいいよね?」
(いや、余計にヤバいって!!)
まるで、浮気を問い詰められる夫の心境だ。
「…私にも、言えないことなの……?」
陽菜の目が涙でにじんだ。