水の旋律

□お姫様のお願い
1ページ/4ページ



柏木高校文化祭の帰り道、陽菜は片瀬にバイクで柏木駅まで送ってもらった。


「行きは、はねっかえりがいて、乗せてやれなかったからな……」

と言って、乗せてくれたのは、いいのだが……

(もう、哲生ったら、相変わらずスピード出すんだから……怖くて、思いっきり、しがみついちゃったじゃない…)

と陽菜は、思っていたが、わざと片瀬がスピードを出しているとは、少しも考えていない…


「あ、そうだ、哲生。ききたいことがあるんだけど……」

「ん?なんだ?」

「設楽くんが、『本家のベッドの下にあるもの、この場で言うぞ!!』って言ってたじゃない?あれって何だったの?」

「えっ!!あっ、あれはだなぁ……」

「ねぇ、何?」

と片瀬は、陽菜に問い詰められた。


(くっそ!!優のヤツ、今度会ったら、タダじゃおかねぇ……!!)


「…哲生?きいてる…?」

「…あ、あぁ…あれはだなぁ…」


(くそっ!!言い訳が思いつかねぇ!!)


「ねぇ、ここできいてるの、私だけだよ?だから…教えてくれてもいいよね?」

(いや、余計にヤバいって!!)

まるで、浮気を問い詰められる夫の心境だ。


「…私にも、言えないことなの……?」
陽菜の目が涙でにじんだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ