水の旋律
□幸福の在処
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――これから先、どんなことがあっても、私の傍にいて、笑っていてくれ…
お前の笑顔が、私の幸せなんだ…
『幸福の在処』
「あら、仲の良いご夫婦ね〜新婚さんかしら?」
樹ときらが買い出しのために、食材を見ているときだった。
「えっ!」
見知らぬ中年の女性から話かけられ、きらは戸惑いながらも、
「ありがとうございます。」
と照れながら、お礼を述べた。
そんな、いつまで経っても初々しさが残るきらに、樹の表情は、この上なくやわらかい。
それに、結婚する前、きらが高校生だった頃にも、同じ場面に遭遇した。
その時は――
「あら、仲の良い、ご兄妹(きょうだい)ね」
と間違われたものだ。そんな言葉に、きらは一生懸命、否定していた。そんな姿が、樹は愛しかった。
…しかし、さっきのは…