水の旋律

□想い、想われる喜び
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「優…髪の毛、伸びたね…」


春の日差しが穏やかな昼下がり

きらは優のアパートで、畳の上に寝転がる優の髪の毛を一房つまんで言った


「……そうだな…確かに少し鬱陶しいな…」

きらに髪を摘まれるまま優は答えた


「…それだけ同じ時間を過ごしたってことだね」

きらは優に微笑みながら言った


「まっ、まぁな……僕もよく頑張ったからなっ!」

「なによそれ〜…無理に頑張らないと、私とは一緒にいられないって言いたいわけ?」

きらはふてくされたように優に訊いた


「そっ!そんなことは言ってない!!ただ……何か努力してないと、お前が離れていくような気がして…」

「……優…」


優は、無条件に与えられる愛情を知らずに育った
母親からの愛情でさえ、九艘殲滅の名の下に受けた歪んだ愛情だった

何か努力しなければ、この幸せは崩れ落ちてしまう…


そんな風に優は考えていたのだろう…


だから今まで、私のために様々なことをやってきたのか…

ときらには思うところがあった




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