水の旋律
□ツンデレラ
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むかし、むかしのお話です。
あるところにツンデレラという娘がいました。
彼女には、『優』という名前がありましたが、彼女の性格上そう呼ばれていました。
ツンデレラのお母さんは幼い頃、病気で他界してしまい、お父さんと二人で暮らしていましたが、ツンデレラが14歳のとき、再婚することになりました。
再婚相手は、『愁加(しゅうか)』様。そしてその連れ子である『水季』、『好木(よしき)』の二人のお姉様と暮らすことになりました。
お父さんに愁加お母様、姉2人の5人家族で平穏に過ごしていました。
ところが、ツンデレラのお父さんが馬車にひかれて帰らない人となってしまい、継母、義姉2人と暮らすことになりました。
こうして、ツンデレラは肩身の狭い思いを強いられることになりました。
「ツンデレラ!私の御髪を梳きなさいな!ドレスの支度は出来ていて!?」
と好木お姉様は台所で夕食の片付けをしているツンデレラに向かって叫びました。
「まだ時間もあることですし…たまには自分でなさったらいかがでしょうか?」
とテーブルで座っていた水季お姉様は、いつもツンデレラに身の回りの世話をさせる好木お姉様に優しく言いました。
お父様がいなくなってから、ツンデレラは愁加お母様やお姉様(主に好木お姉様)にこき使われる毎日。
ツンデレラは、家事に追われる生活を余儀なくされ、手は荒れ、身に着けているものといえば、着古したエプロンばかり。ドレスなんて、お父さんが亡くなってから一度も着たことがありません。
「何をおっしゃって!?水季お姉様!身よりのないツンデレラを誰が面倒みてるとお思いになって!?『働かざるもの食うべからず』ということわざがあるでしょう?」
好木お姉様は、水季お姉様に向かって言いました。
「その通りよ、好木!」
愁加お母様が好木お姉様の声を聞きつけて、台所にやって来ました。