水の旋律

□片瀬哲生の理性
1ページ/5ページ





ぽかぽか、あったかい…?
でも、あったかいというよりは……

……暑い…?

……それに、何だか重いような…












「どうして、哲生がここにいるの!?」

陽菜はベッドから跳ね起き、隣でスヤスヤと寝息をたてている人物……片瀬哲生を見た

「それに、ここって……もしかして、哲生の実家!?」

辺りをキョロキョロと見回し、以前一度だけ訪ねたことがある片瀬の実家の記憶を手繰り寄せる

そしてテレビの上にある、写真立てが目に留まった

陽菜はテレビに近づき、起きたばかりの目をこすり、写真の二人を凝視した


「うそ…これって私と哲生、だよね…?」

写真に写っていたのは、タキシード姿の片瀬と、幸せそうに微笑みウェディングドレスを身に纏った陽菜だった


その写真の右下に、日付がかかれていることに気づいた陽菜は、更に驚いてしまう


「この日付って…今から5年後じゃない!?」

「ん〜…ひなぁ〜…?」


陽菜の素っ頓狂な声に片瀬が目を覚まし、ベッドから起き上がった

「哲生!どういうことなの!?……ってどうして服着てないの!?」


ベッドから起き上がった片瀬はまだ完全に覚醒していないようで、頭を掻きながら気だるげに陽菜を指差した

「ん…」

「ん??」

「それ…オレの服…」

「えぇ!?!?」

片瀬に自分の胸元を指さされ、今更ながらに自分の格好を見てみると、上半身に片瀬のワイシャツを羽織っているだけの状態だった…

「キャ―!!見ないでよ!!」

陽菜は必死に手で身体を隠そうとするが隠れるはずもない

片瀬はそんな慌てふためく陽菜を余所に、ふぁ〜…と欠伸を漏らした


「…今更、何言ってるんだ…?もう何回も見…」

「いや!!もう哲生なんか嫌い!!もうやだぁ〜」

「おいおい!落ち着けって!確かに昨日は少し無理させたとは思うが…」

「そんなこと聞いてない!!ここどこなの!?どうして私と哲生が結婚してるの!?もう、訳分かんないよぉ〜」

陽菜はパニックに陥り、とうとう泣き出してしまった




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ