水の旋律
□片瀬哲生の理性
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ぽかぽか、あったかい…?
でも、あったかいというよりは……
……暑い…?
……それに、何だか重いような…
「どうして、哲生がここにいるの!?」
陽菜はベッドから跳ね起き、隣でスヤスヤと寝息をたてている人物……片瀬哲生を見た
「それに、ここって……もしかして、哲生の実家!?」
辺りをキョロキョロと見回し、以前一度だけ訪ねたことがある片瀬の実家の記憶を手繰り寄せる
そしてテレビの上にある、写真立てが目に留まった
陽菜はテレビに近づき、起きたばかりの目をこすり、写真の二人を凝視した
「うそ…これって私と哲生、だよね…?」
写真に写っていたのは、タキシード姿の片瀬と、幸せそうに微笑みウェディングドレスを身に纏った陽菜だった
その写真の右下に、日付がかかれていることに気づいた陽菜は、更に驚いてしまう
「この日付って…今から5年後じゃない!?」
「ん〜…ひなぁ〜…?」
陽菜の素っ頓狂な声に片瀬が目を覚まし、ベッドから起き上がった
「哲生!どういうことなの!?……ってどうして服着てないの!?」
ベッドから起き上がった片瀬はまだ完全に覚醒していないようで、頭を掻きながら気だるげに陽菜を指差した
「ん…」
「ん??」
「それ…オレの服…」
「えぇ!?!?」
片瀬に自分の胸元を指さされ、今更ながらに自分の格好を見てみると、上半身に片瀬のワイシャツを羽織っているだけの状態だった…
「キャ―!!見ないでよ!!」
陽菜は必死に手で身体を隠そうとするが隠れるはずもない
片瀬はそんな慌てふためく陽菜を余所に、ふぁ〜…と欠伸を漏らした
「…今更、何言ってるんだ…?もう何回も見…」
「いや!!もう哲生なんか嫌い!!もうやだぁ〜」
「おいおい!落ち着けって!確かに昨日は少し無理させたとは思うが…」
「そんなこと聞いてない!!ここどこなの!?どうして私と哲生が結婚してるの!?もう、訳分かんないよぉ〜」
陽菜はパニックに陥り、とうとう泣き出してしまった