水の旋律
□Love is change mind.
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―最近の僕は、
一言で言うと…
―『変』―
だと思う……
「ねっ!優!見てみて!!コレ、可愛いぃ〜」
ショーウィンドウに飾られたクマのぬいぐるみを見て、はしゃぐきら…
…正直、お前の方が、可愛いと思…
「ねっ!?優!」
「あ?あぁ…」
危ない、危ない…
危うく、
『お前の方が可愛いゼ★』
なんて、どこぞのバカ(片瀬)みたく言ってしまうところだった…
僕はれっきとした日本男児だからな!
人目を気にする分別は持ち合わせているのだ。
…あの、『超』がつくほどのバカップルとは違って…
「だよね〜!ほんと可愛いよねぇ!癒される〜」
今だショーウィンドウに釘づけのきらに、僕は小さくため息をついた。
…癒されているのは、僕の方だ…
こいつ笑顔を見る度、僕も嬉しくなる。
何だか温かい気持ちになって、きらと同じ気持ちを共有できたのではないか…と思うからだ。
…でも、その対象が僕ではなく、ぬいぐるみであることは面白くない…
癒しを感じるのは、僕でなく、ぬいぐるみなんて……
「ほら!いつまで、そうしてるんだ!早く行くぞっ!」
「えぇ〜…バイバイ…クマさん…また来るね…」
また、来るのかよ!?
…また、クマ相手に嫉妬しなければいけないのか……
……って、嫉妬!?!?
何考えてるんだ!?
相手はクマだぞ!?クマ!!
人外じゃないかっ!!
張り合う相手じゃないだろっ!?
僕は居たたまれなくなり、きらの手を取ってその場を離れた。
振り返り様に見たクマのぬいぐるみは、そんな僕を笑っているかのようだった。