水の旋律

□甘いものは好きですか?
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「拓哉先輩…あんなところで何してるんだろう?」


陽菜は仁美の家に寄った帰り道、尚和町駅前を通りかかり、偶然、拓哉の姿を見つけた。陽菜は拓哉に声をかけようとしたが…

「どうしてあんなにキョロキョロしてるの?」

周囲を気にしながらキョロキョロとする拓哉の様子は尋常ではないと思い、しばらく様子を伺っていた。

「よし!知っているヤツはいないな…」

拓哉は一通り周囲を見渡した後、ある店に一目散に向かった。

その先を辿ると…


「…ジャ、ジャンボカスタードクリームシュー、20個下さい!」


…と、スイーツの店で何やら買うようである。

「ありがとうございます!ジャンボカスタードクリームシュー20個ですね!少々、お待ち下さい」



拓哉の待っている横顔は…とても楽しそうで、よほどそれが欲しかったことが伺える。


(…拓哉先輩が甘いもの好きだったなんて意外だけど…なんだか可愛いかも!)


拓哉がスイーツを食べている姿を想像して、陽菜は自然と笑みを浮かべてしまう。


「お待たせしました!ジャンボカスタードクリームシュー20個ですね!いつもお買い上げ、ありがとうございます!」

「あぁ…ここのシュークリームはボリュームもあってうまいからな」

「はい、ありがとうございます!またのご利用、お待ちしております!」


袋いっぱいのシュークリームを抱え、満足した様子で拓哉はその場を去った。



(…あんなにたくさん何を買ったのかな?先輩全部一人で食べるのかなぁ?
…それとも桐原先生と食べるとか…?でも桐原先生とスイーツって…想像しにくいかも…
でも寮の方へ行ったし…やっぱり自分一人で食べるのかなぁ?)


拓哉の消えた方をじっと見つめ考え込んだ陽菜は拓哉が何を買ったのだろうと興味が沸き、その店に行き、店員に尋ねた。


「あの…さっきの人ってこちらによく来るんですか?」

「はい!いつもジャンボカスタードクリームシューを20個お買い上げいただいておりますよ」

「20個もですか!?」

「はい、当店でも人気商品なんですよ!…この前いらした時は、売り切れになってしまって、とても残念そうにしておられました…」

「拓哉先輩…そんなに好きなんだ…」

「常連様ですね!いつもこのジャンボカスタードクリームシューを買っていかれますよ」

「…そうですか…あ!私もそのカスタードクリームシュー下さい!」

「はい、お買い上げ、ありがとうございます!」


こうして陽菜はカスタードクリームシューを購入して、寮へ戻った。




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