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【拓哉×陽菜】




―…拓哉先輩の手…大きいなぁ…


「でさ、兄貴がさ…」


…この大きな手で、頭を撫でてほしい…

なんて言ったら、子どもだって思われるかな…


「…陽菜?」


手を繋いだことだって、数えるくらいしかない…


「気分でも悪いのか?」


…あの大きな手で、包み込まれたら幸せだろうな…


「大丈夫か?陽菜…?」


…でも先輩、とっても照れ屋さんだから何かきっかけでもないと…



「あ、あの先輩っ!」

「うぉ!?な、何だ!?」

「えっと…わ、私っ!今日の漢字テストで百点だったんですよ!」

「そ、そうか…」

「それに先週の歴史のテスト、クラスで5番だったんですっ!桐原先生に褒めてもらいましたっ!」


あぁ、もう!何言ってるの!!
これじゃ、ただ自慢話したい子に思われちゃう!


「兄貴が…?」

「はい!桐原先生、答案を返す時に『よく頑張ったな』って褒めてくれたんです!」

「ふぅ〜ん…」

「その言葉を聞きたくて頑張っている子もいるんですよ?桐原先生、人気ですから…」

「陽菜も…そうなのか?」

「…はい?」

「お前も兄貴に褒めてもらいたくて頑張ったのか?」

「え…?」

「あ!…いや、その…何言ってんだ俺…」

「わ、私は…褒めてもらえるんだったら…」

「……」

「先輩に褒めてもらいたい…、です」

「……そ、そうか…」

「は、はい…」

「よく、頑張ったな…陽菜」


―先輩!頭、撫でてくれた…っ!!


「っ!!…先輩っ!」

「な、何だ!?」

「その…頑張ったご褒美、くれませんか?」

「あぁ…何だ?何か欲しいものでもあるのか?」

「先輩と手を繋ぎたいですっ!…ダメ、ですか…?」

「うっ!」

(なんだ!?この可愛い生き物は…っ!?)

「ダメなわけあるか!ほら手出せ!」

「はい…」


((柔らかくて、温かいな…))


「先輩っ!!」

「は、はいぃ!?」

「次のテストも頑張れたら…頭、撫でてくれますか?」

「あ、あぁ…」

「じゃ、私頑張りますから、先輩も頑張って下さいね!」

「…は?」

「先輩にもらうばかりじゃなくて…私も先輩にご褒美あげたいので…」

「なっ!?」

「頑張って下さいねっ!」





















「おい…拓哉…お前何か変なものでも食べたか?」

「突然何言い出すんだよ、兄貴…」

「いや…信じられん点数を取っているのでな…これは政継さんに報告せねば…」

「は?何言って……なんだ、いい点数じゃないか」

「まぐれじゃないといいんだがな…」

「はぁ!?今回、俺頑張ったんだからな!だって陽菜と約束し…」

「やはり、白石絡みか…」

「あ、兄貴には関係ないだろっ!?」

「はぁ…まったく、毎回この点数を取ってほしいものだ…」

「うるせ〜っ!!」





















―E N D―

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