書物棚2

□家族ごっこ。
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「あ、兄上っ!!」
「幸村殿が佐吉の弟なら、私の弟と言う事だよね。皆で楽しもうか?」
正澄に視線を向けられ、幸村はどきりとする。
「あーにーうーえーっ!!」
ついに三成は大声を上げて振り向く。
「ふ…冗談だよ。冗談」
正澄は笑いながら三成の頭を撫でた。
あぁ、こうゆう事か…兄弟でじゃれ合うって。
三成はどこか温かさを感じた。正澄も。
「悪ふざけは止めて下さい」
三成は小さく笑う。
「…え!?」
と、幸村の声だけはその場に合わない響きを含んだ声を上げた。
「冗談……だったのですか…?」
まるで三人でするのを期待していたような……。
石田兄弟は顔を見合わせた。
「…………お二人の兄弟に成れると思ったのですが……」
三成の胸の中で幸村の絞り出すような声が響いた。
「…幸村」
別にあんな事をしなくても兄弟には成れる。
三成はそう言おうとした。
「幸村、あのな……っ!?」
三成の言葉は遮られる。
未だに三成の足に添えられていた正澄の手が、するすると滑り、下着越しだが大事な部分に触れたから。
「ごめんね、佐吉…付き合って」
兄に囁かれた。
そこで初めて気が付いた。
後ろに何か硬いものが当たると。
「独りが長いと大変だね…」
正澄は苦笑いをした。
だからって実の弟に欲情などと…。
三成はどこか自分の容姿は悪くはないと思っている所がある。だが、兄から迫られる日が来るとは信じられなかった。
もぞもぞと体を弄られ、三成は甘い痺れに身じろぐ。
「幸村殿、仲良くしようか……皆で」
幸村も変化に気付き、そっと手を三成の着物を割り入れる。
「やめっ……」
潤んだ瞳で三成が首を振る。
正澄も幸村も好きな人間だが、三人でなんて……。
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