書物棚4

□向こう側の気持ち。
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石田三成邸。
宵深い時、互いの愛を感じ合う二人。
石田三成と真田幸村。
床の上で体を重ね、激しく求め合う。
「あ…っ…あぁっ…」
脚を開く三成の間に幸村が入り込む。
揺れ動く繋がる二人。
「は…っ…熱い、幸村…」
結ばれたそこには熱く猛る幸村。
「もっと、熱くさせて下さい…」
荒い息を挟む幸村。
三成に軽い口付けを合図に強く突きだす。
「…んっ…幸村…っ」
二人は互いを抱き寄せ、深く求め合い続けた。

翌朝過ぎ、幸村と三成は市場を見て回っていた。
特に何を買うでもなくとも、活気ある人々で賑わう市を見るのが楽しかった。
そんな光景を見ていたら笑みが溢れるものだが、幸村はすぐ横に歩く三成が気になって笑う気分にはなれなかった。
顔色が悪く、どこか硬い動き。
原因は明白。
昨晩の激しい情事のせいだ。
学問漬け育ちの三成と、山の中で遊び回って幼少を過ごした幸村とでは基礎体力が違う。
体を重ねた翌日の三成はいつもこうだ。
本人は「大事ない」と言うが、幸村はそんな三成をみる度に罪作りをしたような気分になる。
何も悪いことはしていないが…。
もしや…『立場』を換えたら三成殿は楽になるのでは?
これはいい思い付きかもしれない。
受け手がどんな感じなのかもも興味深い。
やっと幸村に笑みが溢れた。
そんな幸村の変化を三成が感じ取る。
「どうした?」
「あ、いえ…」
こんな公共の場で下半身の話なんてしたら三成に怒られそうだ。
「お酒が安く買えそうだな、と…」
「好きだな、ほんとに」
三成も笑う。
「肴も何か買って買えるか」
「はいっ」
あの話はまたその機会が来たらしよう。
嘘で言った言葉通り、酒を楽しむ事にするか。

深夜。
三成の屋敷で軽い酒盛りをした三成と幸村は眠りについた。
体に強い熱を感じた幸村は目を覚ます。
三成が密着していた。
「幸村…今夜は触れてはくれぬのか…?」
三成は少し、酔っている様だった。
普段は呑まない三成が今宵は珍しく酒を口にした。
「…今夜は三成殿が触れて下さい」
三成は驚いた顔で幸村の顔を見た。
「いつも三成殿に負担をかけてばかりなので…」
「負担ではないぞ」
「それに、そちら側も味わってみたくなりまして」
三成は少しだけ黙った。
考えているようだった。
「真田は不意打ち好きだな」
不機嫌ではない様子。
「俺も男だから出来なくはないが…いいのか?」
「はい」
いつもとは違う興奮を幸村は感じた。

三成は一度退室して小さな器を持ってきた。
茶筒を潰して平たくしたような丸い器。
蓋を開けると白い個体。
「馬油だ」
字の通り馬からとった油。傷の薬になると買っていたものだった。
「滑りを良くするために使う。口に入れても問題ない程の無害なものだ、心配するな」
「私は、三成殿を信頼していますから」
幸村の開いた脚の間に入り込んだ三成。
油は手に取ると溶け、それを幸村の尻へ塗る。
胸を高鳴らせながら幸村は三成の動きを見守った。
湿り、滑りのよくなった三成の指は幸村の尻の奥を突く。
「…っ」
異物感は強かったが、痛みはなかった。
ゆっくりと深みへと進めていく三成の指。
「んぅっ」
鋭い刺激を感じ、声が漏れた。
あぁ、中を感じるとはこういうことか。
幸村の中で三成の指が動き出す。
突き引きをしたり、中を掻き回したり。
動きは優しかった。
「…あっ…中…熱いです」
「あぁ、幸村を感じる」
三成も興奮しているのか息に熱を帯びていた。
馬油効果かすぐに幸村は受け入れられそうになる。
下帯を解いた三成は幸村へと腰を進めた。
「ん…っ」
体積は感じるが三成は楽に飲み込む事が出来た。
三成殿で満たされている…。
嬉しさに笑みが零れそうだ。

翌朝。
「幸村…大丈夫か?」
布団の中で三成が尋ねる。
「はい。これくらい問題ないです。普段から槍の稽古で鍛えてますから」
笑顔の幸村に三成は不機嫌顔。
「…そうか。俺は『これくらい』か…」
三成、男として傷付く。
「…三成殿?」
三成は布団に潜ってしまった。
「三成殿、次はどちらでしますか?私は三成殿がいい方に…」
「知らん!」
「三成殿〜?」
幸村が三成の気持ちに気付くまで丸一日かかった。

終わり。
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