書物棚

□幸村日記
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私も三成殿や兼続殿のように教養を身に付けたいと思いました。
父上にその思いを伝えたところ『父の部屋の書を好きに読むといい』と、言われたのでそうする事にしました。
書棚の裏に不自然に置かれた書を読んでみる事にした。
きっと日焼けしないように日陰に置いたのでしょう。大切な書なのですね。

『稚児草子・愛憎の寺院』

読んでみました。

素直で美しいお稚児さんが数々の和尚なんに……その、色々されて、だんだんに心を閉ざしていき、和尚さんもそのお稚児さんを巡って争うという泥臭くて破廉恥な物でした……何読んでるんですか、父上!
見た目ではわからないが、寺とはこういうものなのでしょうか?
その時、前に三成殿が言っていた事を思い出した。

『俺は三歳の時、寺に預けられた』

この話は素直な少年が大人達によってやさぐれていくというもの……まさか!三成殿も!!
私は書を持つ手が震えました。

そして、気が付いたら馬を佐和山に向かっていました。
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