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□左近の謀反
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大坂城。
「は〜…♪」
うっとりとした表情で自室に今運ばれたばかりの巨大で豪華な寝台に寝転がり、頬擦りして幸せな溜め息を出す豊臣秀吉。
天下人になり、秀吉の暮らしは豪勢になった。
この寝台注文もその贅沢の一つ。
正室のねねにも同じような寝台を買い、贈った。
秀吉はその寝台が届いた事よりこの寝台でしようとしている事を想像してにやにやしていた。
そんな秀吉を見つめるは寝台運びを指揮した豊臣参謀石田三成と寝台運び手伝った石田家家臣島左近。
二人仲良く並んで座っている。
「御機嫌ですな〜」
頬を赤らめ体全身で喜ぶ秀吉に左近。
「わしが使ってない時はここ使ってもええで〜。ちゅうか、可愛い子いたら紹介して〜」
秀吉の頭は軽く湯で上がっていた。
「可愛い子いますが紹介は出来ませんなぁ」
「左近のケチー」
秀吉は口を尖らせ、左近は笑う、やがて二人で声を上げて笑った。
左近にとって秀吉は主の主だが軽い性格の秀吉、左近にはピリピリした主従の空気はない。
爆笑する大人達に対しておもしろくない三成。何がおもしろくないって左近の言葉が気に入らない。無償に腹が立った。
「紹介してくれんのなら左近が使ってる時に覗いちゃる〜」
「いい趣味じゃありませんよ。…それじゃあ、明日の午後にでも予約しますかな」
笑いながらそんな事を言う左近に三成は驚いた顔をして見た。
「何じゃ?三成、そんな顔して」
「いえ…何でもありません」
すぐにいつもの無愛想に戻した三成。
「殿も気になります?左近の『可愛い子』……つっ」
三成は秀吉に気付かれないように左近の足をつねっていた。
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