書物棚
□三成日記
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気色悪い……。
幸村が突然、尋ねて来た。やりかけの仕事があったため、別室で待たせる。
仕事が片付き、その部屋に向かうと、
「ま、正澄殿…」
「幸村…」
「うわぁぁぁぁぁ、佐吉ー!何て可哀そうな事をしてしまったんだぁっ!」
「三成殿ぉぉっ!」
兄上と幸村が抱き合って泣いていた…。
「…………俺が……何?」
何があったか知らないが、こんな状態の二人には正直あまり係わりたくない。しかし、俺の名を叫んでいる。放っておく事も出来ない。
「うぅっ…ごめんね、佐吉」
「大変でしたね…」
「何泣いているんだ?二人共…」
「佐吉、何ですぐに言ってくれなかったんだっ!寺の坊主達に無理やり犯されているってっ!」
兄上が恐ろしい事を口走った。
俺が何だって…?
「兄上…何を勘違いしているかわかりませんが、私は寺の坊主達に何もされていません」
「ぐすっ…だってこの書に…」
兄上が震える手で一冊の書を渡す。横に座る幸村は涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃだ。
受け取り、書をパラパラと捲る。
稚児草子か、幼稚な淫書だな。
「これは創作です!何です?この書はっ!」
「わ、私のですが…」