書物棚2

□良い子のお仕置き。
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ばたばたばた。
広い広い大坂城内を駆け回るのは城主・豊臣秀吉とその正室・ねね。
「もうっ!お前様!今度という今度は許さないよっ!!」
「ねね〜!か〜ん〜に〜ん〜!!」
この光景は大坂城ではよく見られる。
女癖悪い秀吉が浮気をしてはねねは鬼になり追い掛け回す。
今回、秀吉は京に仕事で行くと言って、現地で女の子と遊びまくった。
ばれないように嘘証言者役として連れて行った石田三成と真田幸村。
この幸村がねねに暴露してしまった。
浮気するのも、それに協力するのも駄目です。
幸村はそう思っていた。
秀吉殿には沢山沢山お世話になっておりますが、黙っておりませぬ。
で、ねねに報告。
数多くの戦場を生き抜いた夫婦は疲れを知らずにばたばたと走り回る。
それを並んで正座して見守る三成と幸村。
三成の手は幸村に握られている。
三成殿もお仕置きです。
耳元で囁かれた。
三成は今回の秀吉の浮気を黙っていた。幸村にとっては悪事に協力したと言う事になる。
「秀吉殿〜ねね殿〜私達は失礼致します」
幸村は三成の手を握ったまま立ち上がり、室外に連れて行く。
「ちょ…っ!待…助けて〜み〜つ〜な〜り〜!ゆ〜き〜む〜ら〜!!」
背中越しに聞こえる秀吉の声に振り返る三成。
幸村の力が強過ぎて助けには迎えなかった。
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