書物棚2

□よとぎのこころえべんきょうちゅう。
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「秀吉殿〜」
「おぅ、幸村」
「三成殿を見ませんでしたか?」
昨日、私は三成殿と約束をした。
翌晩、つまり今晩は床を共にする、と。
だが、三成殿は部屋にいない。
「まだ風呂に入っとるんか〜長いのぉ…」
秀吉殿がにやにやと私を見る。
「だいぶ前に風呂に行ったのを見たわ。もういい加減上がって来るじゃろ」
「そうですか。ありがとうございます」
なら三成殿の部屋で待っていよう。
私は歩き出した。
「幸村」
「はい」
「今晩次第で明日、何かが変わるかもしれん」
…???
何を言いたいのだろうか。
固まっていると秀吉殿は笑って去って行った。
…?
明日、改めて聞いてみよう。
今は三成殿、三成殿。

「三成殿」
部屋の前で声を掛けると応えがあった。
帰って来てる。
襖を開け、飛び込んで来た三成殿の姿は、固まって鎮座していた。
顔が紅いのは湯上がりだからだろうか…それとも……。
「……幸村…」
「はい。どうしました?」
「…っ…は、早く……」
驚いた。
今晩、約束はした。
だが、こんな誘われ方をされるとは思わなかった。
顔を合わせてすぐとは…!
どきどき。
どきどき。
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