書物棚3

□嫁入りごっこをする狐。
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「幸村…俺の夫になってくれ」
「…………!!」
三成殿から言われた衝撃の一言。
「え…?あ…あの…ど…どうしましょう…あぁ…胸の鼓動が早くなってまいりました…お酒は上田の焼酎で…あぁ…三成殿の白無垢…どきどき」
「幸村…?幸村っ!」
「は、はいっ」
「どうした?ぶつぶつと」
あまりの衝撃に壊れてしまった…。
「それは…三成殿からの嬉しい申し出に舞い上がってしまいまして」
「すまない…言葉が足りなかった。夫のふりをしてくれ」
ふり…?
「また城下町に行こうと思ってな。あれの再挑戦だ」
「あれ…とは?」
「また化けて町に行く。女に秀吉様の評判を聞くあれだ」
あぁ、女装して町に出てばれずにいられるかと言うあれですか。と、言う事はまたあの格好をして…、
「あの可愛らしい下着付けるんですか?」
あの時の三成殿はやたらふりふりひらひらした女性用の下着を付けていた。秀吉殿が海の向こうから貰ったとか。
「……一応」
三成殿の頬が紅くなる。
「そ、それはどうでもいいだろっ。とにかく…幸村は俺に協力する気があるのか?ないのか?」
「もちろん!何なりとお申し付け下さい」
三成殿と夫婦ごっこが出来るみたいだし、断るどころか立候補したい。
「助かる。では作戦説明をするぞ」
三成殿の作戦は、
夫である私が秀吉殿に士官をしようしていて、妻の三成殿は色々心配でその士官先の評判を聞いていると言う設定で町の人に聞いて回る、
と言うものだった。
「幸村も素性が分からないように変装しろ」

前髪を上げた。
着物は普段着ない寒色系濁色。
これだけでも随分印象が変わった。
私はこれだけで町に出る事になった。
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