書物棚3

□武家に嫁入りした狐。
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翌日、私の屋敷に泊まった三成殿は秀吉殿に呼ばれて大坂城に向かった。
用が済んだらまた会いに来ると言って…どきどき。
待っている間、屋敷に上田から荷物が届いた。
怪力が自慢の三好兄弟が焼酎の瓶を…いや、あの大きさはもう樽と言っていい程大きな酒瓶を持って来た。
よく上田に焼酎を送ってほしいと頼んでいたので、今回のは頼む前にもう恒例だからと届いたのか…と思ったが、
「「幸村様、婚約めでたき!!」」
二つ重なった大きな声。
「嬢ちゃんから聞いて急いで運んで参りましたぞ!」
「お相手はどこの姫です?嬢ちゃんは教えてくれんし、大殿は笑うだけですしで」
父上…何ですか?その反応は…。父上も知らぬ婚約話などあるわけがないのに、何故に騒ぎにならないのですか?ある意味騒ぎにはなってるけど…。
「いや…その…」
「ゆっきむらさま♪花嫁さんの白無垢用意しましたぜ〜♪」
話を大きくした主が現れた。
彼女はあの会話を聞いていたのだろう…。
「私はあの時に離れろと言ったよな?」
彼女を引っ張り寄せて耳打ちする。
「離れてたよ〜お家には入らなかったでしょ。お外で幸村様達が出てくるのを待ってて、それからはずっと追ってた。それがお仕事だもん」
……彼女の行動は正しい。
私が勝手にあれからずっと離れていたと思っていただけだ。
くのいちは言われた通り、私から離れ、用事が済んだら忍として主を追う。
私は何も言えなかった。
「幸村様!宴の食材持って参りましたっ!」
「幸村様の好きな漬物も沢山持って来ましたぞっ!」
「魚も持ってきやしたっ!」
「山菜もありますよっ!」
「茸に、ほうとうもっ!」
「器もいい物持って来ましたっ!」
「調理はお任せ下さいっ!」
「早速取り掛かろうっ!」
瞬く間に部下達十一人集合。素早い対応に感心する。が、今回は………。
「騒がしいぞ、どうした?」
三成殿が戻って来た。
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