書物棚3

□頭に葉っぱを乗せても化けられない狐。
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大坂城の一室にて、豊臣秀吉とその妻・ねね、家臣・石田三成、真田幸村、幸村のくのいちとで座談会をしていた。

「ねねちん、変化の術教えて〜」
うちのくのいちが言った。
ねね殿の変化の術は見事だ。一見しただけでは正体は分からない。
「お前も喋るとばれるな、おねね様みたいに」
私のすぐ横に座る(どきどき)三成殿が言った。
いくら姿を上手く変えても、化けた本人の口調や態度も真似ないと怪しまれてしまう。
三成殿の言う通りあいつは話したらすぐだな…。
「何よー…三成ぃ」
「化けるなら中身も化けて下さい。なんで喋ってもおねね様のままで通すのですか?それでは頭隠して尻丸見えですよ」
尻……。
三成殿…そんな単語言わないで下さいませ…。
「確かに。前にわしを驚かそうと三成に化けた時はすぐに分かったなぁ」
「やめて下さい、おねね様」
三成殿…お顔が怖いですよ…。
「ねね忍法は完璧だよ」
「姿だけならです。あれならまだ俺の方が人を化かせますよ」
三成殿、なかなかの大胆発言。
「そりゃ面白そうじゃのぉ。なら試してみよう」
秀吉殿が三成殿に向き合う。
「じゃあ変装して、町に出て娘さんにわしの評判を聞き回って来てくれ」
「は?」
「何よ…それ…」
首を傾げる三成殿。睨むねね殿。
「誤解じゃ、ねね!わしの殿様としての評判をじゃなぁ…男のわしには分からない娘さん視点の意見をじゃなぁ…」
もごもご。
嘘だな…あれは。
「ど、どうせなら三成らしくない格好をさせてみたいのぉ」
「あ、いいわね〜♪何がいいかしら」
ねね殿の興味が上手く逸れた。
秀吉殿は安堵したが、今度は三成殿が困った様だ(見た目よく分からないが…)。
「町娘なんてどうじゃ?おなご同士の方が話も聞きやすいじゃろ」
「秀吉様…っ!?」
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