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□左近の謀反
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約束の時間。昨日言った『明日の午後』。
大坂城の自分の部屋で三成は落ち着かない様子で仕事をしていた。
気になっていた。
左近の可愛い子。
気になって、むかむかして、いらいらした。
左近……。
「殿ー、入りますよ」
考えていた本人が現れた。
「……何だ?」
「おや、機嫌悪いですか?」
左近は机に向かう三成に近付き、ひょいと持ち上げた。
まるで子供を抱き上げるように。
「行きますよ」
「どこに?」
「秀吉公の寝台」
「は?」
「約束してたでしょう。秀吉公の寝台を可愛い子と使うって」
…………。
三成は黙った。ゆっくりと思考が動き出した。
「……!降ろせ左近」
「降ろしません」
「謀反か!?」
暴れる三成。
「おとなしくして下さいよ〜。殿への謀反は浮気をする事ですなぁ」
「したのかっ!?」
「してませんよ。殿に殺されます」
そう言って左近は抱えている三成の背中をぽんぽん、と、優しく叩いた。
すると三成はおとなしくなった。
「謀反なんかしたら消してやるからな……」
三成は左近の胸に顔を埋めた。
「左近が殿を見捨てるとお思いか?」
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