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□思い内にあれば色外に現れた後
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三成が風呂に入っている時、幸村は父・昌幸と向かい合っていた。

「…突然、三成殿の具合が悪くなってしまったのですが、何かの病でしょうか?」

家臣の男が言った通り、蔵を出た時、三成の顔色は確かに悪かった。ぐったりした様子だし、足腰が立たない。
幸村は心配で仕方がなかった。
とにかく暖かくして休ませよう。そう思い布団と暖をすぐに家臣に用意させた。
そして、尊敬する父に相談。
昌幸は黙って息子の話を聞いている。

「その上、お尻から血が…っ。父上、三成殿に一体何が!?」

話が終わると昌幸は声を上げて笑った。

「父上っ!笑い事ではありません!」

幸村が声を荒げる。

「はっはっはっ、お主等は蔵でそんな事しとったのか!」

昌幸がいやらしい目で幸村を見る。
不謹慎な父の態度に幸村は怒りを露わにした空気を発した。

「怒るな、幸村。安心せい、三成殿は病ではない」
「真ですかっ!?」

幸村が身を乗り出す。

「あぁ。今夜は幸村のために赤飯だな、お前、初めてじゃったろ?はっはっはっ」

幸村には昌幸が何に笑っているのかわからない。不思議そうに首を傾げる。

「男色行為はな、受け手にかなり負担をかけるのじゃよ。元々受け入れる箇所ではないからな。しっかり慣らさないと出血もある。次からは気を付けるのじゃぞ、幸村」

幸村はみるみる顔が紅くなる。

もしかして、私はとんでもない事を父上に話しているんじゃ…。

「三成殿に届ける薬は気付け薬もじゃが、止血の塗り薬も必要だな」

おかしそうな昌幸に対して幸村は固まって、何も言えなくなる。

「おーい、赤飯を用意せいっ!今日は幸村の祝いの日じゃっ!」
「わぁぁー父上っ!止めて下さいっ!」

幸村は渾身の叫び声で制止した。
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