ツバサのセカイ語り物
□楽しい一日
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小狼は堪り兼ねて騒がしいその二人と一匹に一言。
「遊びじゃなくて…、一応撮影も兼ねてるんですし」
聞く耳を持たないサクラとモコナ、ファイに小狼はとうとう呆れてしまう。
「でもー、遊びみたいなものでしょー」
とファイ。
「小狼って、いつもカタイね♪」
モコナがそうサクラに振ると、サクラもまた大きく頷いた。
小狼はやれやれと引き下がる。
「もうすぐ着くね♪モコナは沖縄初めてなの!」
彼らは沖縄に向かう飛行機の中だった。
それは仕事であって遊びのではなかったはずが、我が儘な彼らのせいで、三日かかる撮影を一日で終え、残りの二日間をフリーにと予定変更させた。
「サクラちゃんも初めてなのー?」
「わたしは一度行きました。でも、その時もお仕事で行ったんであんまりゆっくり出来なかったんです」
「ファイは?」
「オレも初めてなんだー」
「ねぇ、沖縄着いたら、パイナップルだよ!」
「モコちゃん、パイナップル好き?」
「うん!!」
二人と一匹に静かになる気配はなかった。
それを後ろの席で聞いている小狼と黒鋼はやはり呆れていた。
「あいつらはガキか?」
黒鋼は独り言のように呟く。
「それ、ファイさんも入ってるんですか?」
「…あいつが一番ガキだ」
その時、前の席からファイが顔を出した。
「今、オレの事言ってた?」
満面笑顔で黒鋼に問いかけたが彼はそれを無視する。
「…ひどいなぁ」
ファイは席に戻った。
「聞いてよー。黒ぷーったらオレの事、無視するんだよー」
ファイはすねていた。
モコナはサクラに合図する。
「ファイ…もしかして、黒鋼に嫌われたんじゃ…」
ファイはモコナの言葉で一気にへこむ。
「ファイさん、何か悪い事したんでしょ!」
「……別に心当たり無いんだけど…」