ツバサのセカイ語り物
□嘘笑真涙 〜甘え酒〜
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夜、黒鋼は部屋で小狼に殺陣について、いろいろと語り教えていた。
小狼はそれをとても真面目に聞く。
「んでだな、その時に相手の…」
コン………コン…
しかし、黒鋼の語りはその気の抜けたようなノックの音で遮られた。
コン…………コン…
黒鋼も小狼も、ノックの仕方で外にいる人物の見当がつく。
そして小狼に鍵を閉めさせに行かせた。
鍵を閉められた事に気付く外の人物は、そんな事で退きはしない。
コン…………コン……………コン…………コン
「うっせぇぞ!今忙しい!!後にしろ!!」
するとドアの向こうで予想通りの声がする。
「どーおーしーてーよー?ね〜ぇ。なーにしてるーのかなー?くーろり〜ん」
黒鋼と小狼は間延びし過ぎている口調に訝る。
「黒鋼さん、なんかファイさん危なくないですか?」
「あいつはいつも危なっかしいがな」
また外で声がする。
「開ーけーてよー。くーろっさーまぁ」
「………………」
黒鋼と小狼は顔を見合わせた。
「やっぱり危ないですよ」
「…ったく、手のかかる!!!!!」
そして黒鋼はドアを開ける。
すると同時にファイは黒鋼に倒れるように飛び付いた。
「黒様〜〜〜♪」
「って、なんだよ急に!」
「黒りん!!オレの事ーを、遊びどぉぐとかー言ったでしょ!?」
「なるほどな」
黒鋼はファイが酔っている事を理解する。
「ちょっとー!!聞いてるー」
「んで、どれだけ飲んだ?」
「サクラちゃんとー…モコナはねー…」
ファイは問の答えになってない言葉を途中まで言い、黒鋼の胸に顔を埋ませる。
そして黒鋼がドアを閉めようとした時、外でサクラとモコナがくすくすと笑っているのが見えた。