ツバサのセカイ語り物
□『おはよう』
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おはよう、サクラ♪
「おはよ、モコちゃん」
おはよう、小狼♪
「おはよう、モコナ」
おはよう、黒鋼♪
「おう、早ぇな」
今日もみんなで撮影行くの♪
今は『東京』のお話撮ってるよ♪
朝はみんなのお部屋に行って、
みんなに『おはよう』ってモコナが言うの。
そしたら、みんな、
ちゃんと『おはよう』を返してくれる。
笑顔と一緒に返してくれる。
モコナ、とっても嬉しいの♪
笑顔で始まる一日が、
モコナはとっても楽しいの♪
最後はファイのお部屋で『おはよう』言うの♪
ファイは最後って決めてるの。
『東京』の撮影が終わるまで、最後に言うのはファイって決めた。
だってね、最近のファイは起きるの遅い。
ちょっと、いろいろ疲れてるみたい。
心がそう言ってるの。
夜もあんまり寝てないみたい。
どうしたの?って聞いてもね、
「なんでもないよ、ありがとう」って…。
昨日もね、ファイは夜遅くまで起きてたの。
どうしてモコナが知ってるの?って?
だって昨日の夜中にね、モコナ、何だか目が覚めちゃって。
その時、悲しい心が遠くから、モコナの心に届いたの。
それが誰だか直ぐ分かったよ。
だから、その心のあるお部屋に行ってきた。
ドアが少し開いてたから、そこからちょっと覗いてみたの。
そしたらね、ファイが窓から夜のお空をずっと見てた。
とっても悲しいお顔をして。
窓にそれが写ってた。
でもね、モコナが声を掛けたら、ファイは笑ってモコナを見たの。
モコナはちゃんと分かってるのに。
ファイの考えてる事とか、心の中を、
モコナはちゃんと分かってるのに。
それでもファイは笑ってた。
だからファイはモコナに言ったの。
「ごめんね、モコナ…」
モコナはそのままファイのお部屋に居たかったけど、
ファイの心は独りがいいって言ってたの。
だからちょっと気になったけど、『おやすみ』を言ってサクラとモコナのお部屋に戻った。
これが昨日の夜の事だよ。