ツバサのセカイ語り物

□死にたもうことなかれ
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あの日はな…


それは酷ぇ夜空だった。
空は
死んだ後の世界を思わすくらいに
暗すぎる程に真っ暗で、
その中で
沢山の流星が流れてたか。

そう、俺は
その流星が綺麗だとか思えねぇから
絶対ぇ
星を
見なかった。

別に、
嫌いな訳じゃない。

餓鬼の頃なんかは
よく見てたしな。

ただ最近になって
それが見てられねぇようになってきた。


本当は美し過ぎるあれが。あれが流れる事は、


お前の

を表すようで。


お前が
あの暗闇の中で
泣いてんじゃねぇかって。

腹立つんだよ。


俺は
蒼い色を
したものを見ると
嫌でもお前を
思い出す事がある。

それくらい
俺の中でのお前の存在が
強く確実なものになっていた。


ずっと側にいてやりてぇ、

今はそう思ってる。
始めは違うぜ。


だがな、



いつか…

離れる日が
来るんだろう。



前にも、周りの奴らに、

『日本国に一緒に連れて帰ってあげて下さい』


とか言われたが、俺はもちろん連れて行くつもりだ。

そうすれば
ずっと一緒に生きられるだろ。





物語の中ではな。




だが、現実はそうじゃねぇ。

俺達が遠くなる日は、
必ずいつか来てしまう。


それは旅が終われば、
物語が終われば、

撮影も終わっちまうんだしな。


そうすりゃきっと、
会う日は段々
少なくなる。



仕方ねぇ。それが当たり前ぇの事だろう。




俺はお前に
生きてほしい…。



俺がお前の前から消えて、お前が独りになった時、

絶対生きていけねぇだろう。


いつの間にか物語の俺達と同化している事が
嫌になる。


何時からこうなったとか知らねぇし、それに

『あの日からだ』とか教えられても、

そんな事はどうだっていい。


こんな事を考えてたからか?


あの日…


お前は助けを求めるように俺のところへやって来た。


また見てられねぇような、思い詰めた顔しやがって。

俺の部屋の前で
倒れたように座り込んで…


 
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