ツバサのセカイ語り物
□ツバサのセカイ、 この世界。
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もうあの流星は見えなくなった。
夜が明ける。
今、あの紅い月は姿を変えている。
陽が昇る。
「まだ早ぇぞ。もう少し寝てろ」
「……あれ?…」
あれからずっと俺にすがりついた儘で、あんまり寝てねぇんだろ?
いつ君のベッドに来たんだろう。全然覚えてないみたい。
「…何だよ、その面は」
「だって、オレ…。覚えてないから」
「別に、思い出す必要はねぇ」
「……でも、夢…?」
「もうあんまり考えんな」
「…ありがとう。ずっとこうやって…抱き締めてくれてたの?」
「…今だけだ」
「嘘っぽーい♪」
きっと照れ隠しだよね。
でも…。
いいんだ。
今だけの事…
だとしても。
だからこそ、今、君の温もりを忘れないように、
離れたくない。
ずっと一緒にいたいから。忘れたくないんだ。
この温もりを。
覚えていたいから。
「そんなに引っ付くな!」
お前がどんな夢を見たか、俺は知らねぇ。
けどな…。
心配すんな。
これからも…ずっと。
俺はお前の側にいる。
お前が覚えている限り、ずっと。
俺の気持ちを。
忘れねぇ限り。
「………あのね」
「ああ」
「ずっと一緒にいたい」
「……分かってる」
「まだ、終わらない…よね?」
「……さあな」
いつか終わる
その時、
それが最後に
なるかもしれない。
だから…