ツバサのセカイ語り物3
□重なる姿
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ある日の事。
魔女の家に、アシュラと“ファイ”の子役・ふぁいが遊びに来ていました。
魔女とアシュラは何やら今後の事について話し合いをしています。
そして、黒モコナとふぁいはというと…。
黒モコナ「待てー!!」
ふぁい「きゃー♪」
ふぁいの大好きな追い掛けっ子をし、部屋中を走り回っています。
黒モコナ「ほら捕まえた!」
ふぁい「イヤー!はなしてー!!」
黒モコナ「こちょこちょコチョー♪」
ふぁい「きゃはははははは♪♪♪」
ふぁいの高い声は鳴り止みません。
そして、しばらくすると、また追い掛けっコが始まります。
テーブルにて、コーヒー片手に話し合う魔女とアシュラの足元では、小さいモノが行ったり来たり…。
始めは気にせず話し合いを進めていた二人ですが…。
魔女「もう、うるさいわね」
アシュラ「…まだ子供だ」
魔女「あーら、ちょっと甘やかし過ぎじゃないかしら?」
アシュラ「何を言う…」
魔女「ふふ♪まぁ、いいわ……」
怪しい笑みを溢す魔女。
ふぁいの方を振り向くと、手招きしてふぁいを呼び寄せました。
魔女「ふぁいー♪ちょっといらっしゃい」
ふぁい「なぁに?魔女さまぁ♪」
にっこり笑って、ふぁいが魔女の元へ寄って来ます。
魔女は怪しい笑みを変えないまま、ふぁいを持ち上げ膝に乗せました。
ふぁい「なぁに?」
真ん丸な蒼い瞳をパチくりさせて、首を傾げて尋ねます。
すると魔女は独特のオーラでふぁいを包み込み、顔をゆっくり近付け、じっと見つめます。
魔女「……少し…静かに出来ない?…」
魔女の厳かな態度に、ふぁいは畏縮して眉を寄せ、向かいに座るアシュラに助けを求めるように顔を向けました。
しかし、アシュラの表情は“無”でした。
ふぁい「アシュラさま…」
するとふぁいの小さな顎に手を添えた魔女が、目を合わさせようと、ふぁいの顔を向けさせて、冷ややかに…。
魔女「私が怖い?」
ふぁいは一生懸命に首を横に振りました。
そして直ぐに俯きました。
侑子「あはは♪冗談よ♪…泣かないのよ?ふぁい?」
ふぁいは小さく頷くと、魔女に抱きついて、彼女の首元に顔を埋めました。
侑子「もう……よーしよし♪ほぅら、いい子ねぇ♪」
ふぁい「………ぅん…」
侑子「うふふ♪」