ツバサのセカイ語り物3
□言わないと決めた誕生日
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四月初日。一日の今日。
この日は小狼、サクラ、四月一日の誕生日。
ゆえに、その三人を祝う飲み会のような誕生日会が毎年恒例で行われる。
その誕生日会に、今年、参加出来なくなった者がいた。
それは、この日体調を崩して撮影を早退していたファイ。
撮影中、目眩を起こしたファイは今、ベッドに横になり、夜空の映る窓を眺めている。
「今頃…、楽しくやってるかな…」
ぼそりと呟いた独り言は、なぜか胸が苦しくなる。
「……………」
考えれば寂しさが増し…。
ならば、もう忘れようと、最後に、今日生まれた人々への祝いの言葉を呟いて、ファイは眠りにつく事にした。