ツバサのセカイ語り物
□イキマスカ?
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沖縄にロケ兼旅行に来ていた四人と一匹。
二日目での撮影は無事終了し、三日目の今日はまたフリーとなっている。
「俺は記念公園に行きたいんですが…」
「俺はそんなもんに興味はねぇ」
「だったら、今日は別行動にしよっかー。オレ達は海にでも行ってるよー」
「モコナは小狼とその公園に行きたいの♪」
「わたしも記念公園の方に行きたいな♪」
こうして別々の場所に行く事になった。
「で?なんで泳ぐ気もねぇのに海なんだよ」
黒鋼は少し不機嫌気味に問う。
「いいじゃない。なんか落ち着くでしょー?」
二人は何もせず、岩陰で、ただひたすら海を眺めていた。
いや、眺め続けていたのはファイだけで、黒鋼は海など見ていない。
「黒ぴー!!せっかく来てるんだから!」
そう言われてずっと閉じていた瞼を渋々開いた。
そこに広がるのは人のいない蒼い海。
黒鋼は続けてファイの蒼も見てみた。
それもまた目の前に広がる海に似ていたかもしれない。
黒鋼は再び瞼を塞ぐ。
「此処にいてもどうせやる事ねぇんだ」
「……だから何?部屋に帰ってヤろうぜ♪って事?」
「へぇー、てめぇも訳せるじゃねぇか」
「もう!黒るんと一緒にしないでー。それに、オレはまだ此処にいたいのー」
「だったら、此処で…」
「ねっ!見て!!あれ!」
ファイはこんなところで襲われては堪らないと思い、とっさに話を変えるため、ある物を指さした。
「ああ?別にただの洞窟だろ?」
「行ってみよー」
「…やめとけ」
ファイは洞窟を見ていたが黒鋼の答えを疑問に思い、彼に振り返る。
「どうして?」
「…危ねぇ」
黒鋼は呆れたような口調で返す。
「えー?何が危ないの?…大丈夫だってばー」
「餓鬼…」
ファイは馬鹿にされた感じがして少し腹が立ったがそれもすぐに消えた。
黒鋼は少し間をおいてから、変わらぬ口調でまた何か言い続ける。
「…ここには猛毒を持った特殊な蛇がいる。そいつに噛まれたりしたら」