ツバサのセカイ語り物

□イキマスカ?
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「死ぬ…って事?」



…ったく、なんでその言葉がすぐに出る…

黒鋼は深いため息をついた。

…確かに噛まれりゃ死ぬ……だがな…


━本当に危ないのは━
━そこに縛られた魂━


「ほら、戻るぞ」


黒鋼はファイの腕を掴み、無理矢理連れて行く。


「やだー」


「優しくしてやっから大人しく来い」


「そうじゃなくて!!」



そして二人は行ってしまう。


そこにいた魂達が、また彼が此処を訪れるようにと念じている事も知らず。


‥るでん望ついあ
‥にろことの達僕
‥を事る来
‥に奥の心
‥のもた似にれそ

見つけた‥








部屋に戻った二人。

ファイの嫌がるのも無視して、黒鋼は真っ昼間からファイを虜にする。



「………いっ!!……っ」

「辛いか?」

「ううん。……大…丈夫。あぁっ……でもっ……あっ…」


ファイの痛みを和らげるため、その艶な唇に自分のを重ねる。

すると、少し落ち着いたのか、再びファイに柔らかな笑みが戻った。


「優しいね…やっぱり」


「うるせぇ。…てめぇだけ先にイかねぇようにしただけだ」


「…逝くときも一緒?」


「…ったく」



そして二人で微笑みあった。
二人で幸せを分かち合った。




少しして日が落ちて来る頃。

事の後、ずっと黙っていたファイが隣で横になっている黒鋼を揺さぶった。




「ねぇ…」


「ああ?」


「もう一度行こう?」


それを聞いた黒鋼は少し驚くが、すぐに口の端を吊り上げた。


「珍しいな。てめぇから二度目誘うなんてな」


「はいー?」


「安心しろ。次はもっとイかせてやる」


「…バカ」


押し倒そうとした手が止まった。


「なんだよ」


「もう!違うよー!!オレは海に行きたいって言ってるの!」


「行ってどうすんだよ!泳ぎもしねぇ癖に」


「だって、夕日の沈むところ、見たいんだもーん」


「んなもん、てめぇ一人で行って来い!」


「………じゃあいいよー。一人で行ってくるからー」


そしてファイは部屋を出て行った。
寂しいそうな後ろ姿を彼に残して…。


…ホントは、一緒に行きたかったのに…


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