ツバサのセカイ語り物
□イキマスカ?
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パシャン!!
ファイが海に踏み入る音でサクラは顔上げる。
ダメ…行っちゃ
「ダメ━━━━!!!!!!」
サクラは大声で叫んだ。
その瞳には映っていたのだ。
誰にも見えない、
海から伸びる
数多の幼い小さな手が。
ファイは叫ばれた声に振り返る。
「サクラちゃん?……………………!!!!?????」
‥くいてれ連
‥でいお
おいで‥
おいで‥
「うぁっ!!!!!!」
おいで‥
「ファイ━━━━!!!!!」
「ファイさーん!!!!!!!」
ファイはその手に引きずられ海の底へと連れていかれる。
まとわりつく手が体の自由を効かなくした。
「ファイさん!!!!!」
小狼はサクラと一緒に海に近付く。
そして小狼は信じられないものを見た。
「な、何!!!???底が…消えた!!!!???」
(海底が深く沈んだ??そんな事が、現実でも起こるのか!?)
小狼は錯覚かと思って目を擦ってはみたが変化がない。
「見て!!」
モコナもまた大声で言う。
「海が!!海の色が変わってる!!!!」
……………血の海?
そう、その海はもう血の海と化していた。
まるで60年前のあの時のように…
おいで‥
(誰?)
おいで‥
(イヤだ)
おいで‥
(嫌ぁ━━!!!!!!)
ファイの体はみるみる内に海に呑まれる。
同時に何かに縛られ苦しみが増す。
(うっ………あぁ!!!!)
おいで‥
(嫌だ…死にたく…ない)
うそだ‥
…え?…
…でも、オレは…
…黒様と…
…生きたい…
ファイが生きたいと望むとまた苦しみが増す。
そして逝きたいと願ってしまう。