ツバサのセカイ語り物

□イキマスカ?
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(あっ…ダメ…息が…)


ファイはもう限界だった。水面はどんどん遠くなる。また意識もだんだん遠くなる。


それでもずっと彼を想っていた。




…来て…くれないの?…

…逝くときは一緒って…


…言ったのに…



ファイは逃げる意識を止められない事を悟り瞳を閉じた。

(もう…無理。…息が…)






その時だった。



……………!?


(バカ野郎!!!!!!)


………黒…様?



黒鋼はファイをしっかりと抱いた。
そして、黒鋼の唇がファイのに重なる。
黒鋼はファイに息を与えた。


………んんっ、苦しいよ


(呼吸しろ!!!!!!)


………え?…


ファイの心に黒鋼の声がする。

黒鋼は混乱しているファイの呼吸に合わせた。




吸う息を吐き
吐かれる息を吸う。

二人の間をそれが行き来する。


そして二人で息を合わせた。
二人でその息を分かち合う。
二人で共に生きたいと願う。



やっと呼吸が出来るようになった。しかし二人の体は海に沈む。


そしてまた
二人は心で伝え合う。



…黒様…
…この分だとオレ達…
…一緒に逝ける…



(余計な事を考えんじゃねぇ!!!!何も考えんな!!俺と生きる事だけ考えろ!)



…うん。


…さっきは凄く怖かったけど、今はもう大丈夫。



…君と一緒に…


…生きたいと願う…




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