ツバサのセカイ語り物

□助けたいから…
4ページ/7ページ



黒鋼の動きが止まり、やっとそこでファイは息つく事が出来る。
荒くなった息を必死で整え、黒鋼に否定する。


「違うよ。…後で、小狼君の…部屋に…」


「ああ?餓鬼とやんのか?」


「もう!黒様、…そんな事しか考えてないの?」


「馬鹿にすんじゃねぇぞ!」


黒鋼は再びファイに残る怒りをぶつけようとする。

とっさにファイは黒鋼の首に手を回して自ら口付けをした。



「なんだよ」



「…お願い」


ファイは気持ち切ない顔をしてみた。
すると黒鋼は最後は優しく仕上げてファイを解放してやった。



「黒様、ごめんね」


「何がだよ」


「怒らせて…」


「…ったく、謝るくらいなら…」


ファイの辛そうな顔が目に入り、言葉が詰まる。



「悪ぃ、ちっとヤりすぎたか?」



ファイは間をおいて悪戯っぽく笑った。


「まったくー、謝るくらいならー」


「真似すんじゃねぇー!!」


「きゃー♪」



じゃれあった後、少し休んで小狼の部屋に向かおうとした。



「もう寝てるよね」


「だろうな」



日はもうとっくに変わっていた。


「でも、見に行くのか?」

「うん」


「世話好きだな。母性本能か?」


と言って笑う。


「そういう黒様も父性本能丸出しだよー」


「さっさと行け!」


ファイも黒鋼の照れ隠しに笑う。


「わぁー黒様照れてるー♪」


「誰がだ!」


それでも目が会うと微笑む二人。

ファイは黒鋼におやすみのキスをして、部屋を後にした。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ