ツバサのセカイ語り物
□助けたいから…
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黒鋼の動きが止まり、やっとそこでファイは息つく事が出来る。
荒くなった息を必死で整え、黒鋼に否定する。
「違うよ。…後で、小狼君の…部屋に…」
「ああ?餓鬼とやんのか?」
「もう!黒様、…そんな事しか考えてないの?」
「馬鹿にすんじゃねぇぞ!」
黒鋼は再びファイに残る怒りをぶつけようとする。
とっさにファイは黒鋼の首に手を回して自ら口付けをした。
「なんだよ」
「…お願い」
ファイは気持ち切ない顔をしてみた。
すると黒鋼は最後は優しく仕上げてファイを解放してやった。
「黒様、ごめんね」
「何がだよ」
「怒らせて…」
「…ったく、謝るくらいなら…」
ファイの辛そうな顔が目に入り、言葉が詰まる。
「悪ぃ、ちっとヤりすぎたか?」
ファイは間をおいて悪戯っぽく笑った。
「まったくー、謝るくらいならー」
「真似すんじゃねぇー!!」
「きゃー♪」
じゃれあった後、少し休んで小狼の部屋に向かおうとした。
「もう寝てるよね」
「だろうな」
日はもうとっくに変わっていた。
「でも、見に行くのか?」
「うん」
「世話好きだな。母性本能か?」
と言って笑う。
「そういう黒様も父性本能丸出しだよー」
「さっさと行け!」
ファイも黒鋼の照れ隠しに笑う。
「わぁー黒様照れてるー♪」
「誰がだ!」
それでも目が会うと微笑む二人。
ファイは黒鋼におやすみのキスをして、部屋を後にした。