ツバサのセカイ語り物
□助けたいから…
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小狼の部屋の前に来ると、閉まり切っていない戸のお陰で、鍵が開いているのが分かった。
少し中を覗いてみる。
電気が付けっ放しになっていた。
起きているのかと思って足音を気にする事もなく奥に進むと、あのままベッドに倒れたものと思われる姿で眠っていた。
「…来て良かった」
ファイは安心の笑みを漏らし、右手を小狼の額に当てる。
その手の感覚で小狼は目を冷ましてしまった。
「………ファイさん?」
「目を閉じて…」
「え?」
「いいからー。ね?」
「はい」
しばらくして小狼の額から手が離された。
「ファイさん、今のは?」
「おまじない♪オレが小さい時に教えてもらったおまじないなんだー」
小狼は首を傾げた。
ファイは笑顔で答える。
「小狼君が明日も元気で撮影に挑めますよーに…って。風邪ひいちゃったらダメだからね♪」
「……ファイさん…」
「じゃあ、おやすみー♪」
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