ツバサのセカイ語り物3
□重なる姿
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魔女はアシュラと目を合わせるとふぁいの可愛らしさに顔を綻ばせます。
そして右手の平を広げ、あるモノを出現させました。
それは小さな子瓶でした。
魔女はそれをふぁいに渡そうとします。
魔女「ふぁい?いいモノがあるの」
ふぁい「……なぁに?」
魔女「これよ」
ふぁい「…ふぅ?なぁに?これー」
魔女「ふふ♪これで楽しい事が出来るわ♪」
ふぁい「たのしいコトー?」
魔女「ええ♪ファイに飲ませてやりなさい♪」
ふぁい「えー?お兄ちゃんにー?」
魔女「そうよ」
ふぁい「どうしてー?」
すると魔女がふぁいに耳打ちしました。
魔女の言葉を聞いたふぁいは、目がキラキラと輝いています。
ふぁい「ふふ♪たのしそー♪」
魔女「でしょう?…じゃあ、行ってらっしゃい♪」
そして魔女は何やら呪文を短く呟き、魔法でふぁいを、ツバサメンバーの居る収録ロケ地へと飛ばします。
モノを使って、子供を上手く排除した“魔女”でした。
その一部始終を黙って見ていたアシュラは一言…。
アシュラ「……流石は“魔女”」
魔女「…何か?」
アシュラ「…いや…………………別に」
この日は、極秘販売写真集のための撮影もあり、一行はある広い公園の中の薔薇園に来ていました。
貸し切り薔薇園の薔薇達は、一行の引き立てにとても協力的でした。
現在は、黒鋼とファイによるツーショット。
薔薇園の中に咲く大人の魅力に、スタッフ一同、また子供組も惚れ惚れとしています。
そこへ…。
「きゃー♪♪♪」
ファイ「へ?」
黒鋼「あ?」
空で高い声が響いています。
それは段々と大きくなり…。
黒鋼もファイも小狼達もスタッフ一同も、空を仰ぐように顔を上げました。
一同「えーっ!!!!」